「三幕構成を知りたいけど、本やネットの記事では難しくて理解できない…」
このような悩みに答えますね。
大前提として、三幕構成の全体像を理解していないと本やネット記事を読んでも三幕構成を理解するのはハードルが高いかもしれません。
理由は、本や記事には専門的な言葉や表現が使われているので、初心者が理解するのは難しいからです。
したがって、まずは
「三幕構成ってこんな感じなんだ!」
と理解することが重要になります。
そこで今回は、三幕構成の意味や基本的な流れについて、どの記事よりもわかりやすく解説します。
本記事を最後まで読めば、映画やドラマの分析ができるようになり、専門書の理解も深まるでしょう。
三幕構成はシナリオ創作の基本なので、物語を書きたい方は参考にしてください。
※今回は三幕構成の全体像を理解することが目的なので、細かい注意点や具体的なシーンの作り方は割愛しています。
三幕構成とは?
三幕構成は、映画やドラマなどの脚本に使用される、有名な構成の一つです。
物語を3分割した構成であり、基本さえ理解すれば初心者でも活用できる物語の型ですね。
シド・フィールドという脚本家が出版した書籍
【映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと】
をきっかけに、三幕構成は広く普及しました。
ハリウッド映画でも頻繁に使用されている構成であり、ゲームや小説、アニメなどでも三幕構成は使用されています。
物語の構成は多数ありますが、三幕構成を応用した構成が多くみられます。
そのため、三幕構成を理解すれば、あらゆる型を使いこなせるようになるでしょう。
三幕構成の基本的な割合は1:2:1
三幕構成の書き方を理解する前に、三幕構成で作る物語の割合を理解しておきましょう。
結論は見出しの通り、1:2:1です。つまり、80分の映画を作る場合は、以下の割合になります。
小説やゲームなども同様、第二幕になる部分が最もボリュームが多く、ユーザーや視聴者が物語に入り込む部分です。
第一幕や第三幕が長すぎると視聴者は飽きてしまうので、三幕構成の割合は忘れないでください。
三幕構成の使い方をわかりやすく解説【初心者OK】
それでは、三幕構成を使った物語の作り方について解説します。
まずは、三幕の役割を理解しましょう。
- 第一幕
オープニングから非日常へ - 第二幕
主人公が困難に立ち向かう→挫折 - 第三幕
クライマックス・エンディング
上記が、三幕構成の大まかな流れです。
それぞれの作り方をみていきましょう。
第一幕の作り方
第一幕の具体的な役割は、以下の通りです。
- オープニング
物語の世界観を伝える - セットアップ
主人公・登場人物・状況・課題 - インサイティング・インシデント
ツカミ・キッカケ - セントラル・クエスチョン
物語の目的を提示 - ファースト・ターニングポイント
非日常への誘い
順番に解説しますね。
1.オープニング
オープニングでは、物語の世界観を伝えます。
映画やドラマ、アニメや漫画などの多くは、ナレーションをつけて、街や特定の場所から始めるケースが多いですよね。
時代背景を伝えるために、ガラケーでメールを入力しているシーンから始まったりすると
「この作品はスマホが出る前の映画だな!」
と観客は思います。
このように、オープニングでは、物語の世界観を明確に伝えるシーンを提供しましょう。
2.セットアップ(共感ポイント)
セットアップとは、簡単にいうと物語の設定です。
- 誰が主人公なのか
- 主人公の問題・課題は何か
- どんな登場人物がいるのか
- 状況はどうなっているのか
- 主人公が何をする物語なのか
セットアップでは、物語の主人公を明確にします。そして、主人公の問題や課題、欲求を明確にしましょう。
たとえば、主人公が貧困な暮らしをしている状況で、お金を稼がないとトラブルに巻き込まれる、などですね。
セットアップで大事なのは、読者や視聴者に
「この人はなぜ頑張っているんだろう?」
などの疑問を与えないことです。
なお、ハリウッド映画の多くは、オープニングからセットアップまでが10分前後で完了しています。
物語の設定を長く伝えると視聴者は退屈するので、注意してください。
3.インサイティング・インシデント(ツカミ・キッカケ・伏線)
インサイティング・インシデントでは、物語が動くキッカケをつくります。
恋愛作品で多いのは、とある男性が女性に恋をして、心の中に変化が生まれたりすることです。
ここでは大きな事件を作るのではなく、主人公が行動する些細なキッカケを作り、主人公の感情が揺れるシーンをつくりましょう。
また、この辺りで伏線を散りばめておくのも有効です。
※伏線は、第一幕であればどこに散りばめてもOKです。ただし、回収できるように設計してください。
4.セントラル・クエスチョン(主人公の目的を明確にする)
セントラルクエスチョンでは、主人公の目的を明確にします。
- 悪を倒したい
- お金を稼ぎたい
- 仲間を助けたい
- などなど
セットアップ(設定)で提示した主人公の課題をもとに、明確な目的を提示しましょう。
簡単な事例だと以下の通り。
- ゲーム【マリオ】
目的:ピーチ姫の救出。 - 映画【ロード・オブ・ザ・リング】
目的:指輪を火山に捨てること。 - アニメ【ワンピース】
目的:海賊王になること。
作品の物語を明確にすることで、視聴者は
「この作品のゴールはここだな!」
と思い、物語の世界に没入してくれるのです。
一方で、物語の目的(ゴール)が不明確だと、
「何に向かっているの?」
となりますよね。
第一幕では、ゴールを必ず明確にしてください。
5.ファースト・ターニングポイント(非日常への誘い)
ファースト・ターンニングポイントは、第一幕から第二幕に切り替わるポイントです。
具体的には、物語の主人公の日常が大きく転換するシーンですね。
もっと簡潔にいうと、挑戦するシーンです。
ファンタジーゲームの場合、主人公が旅に出る場面がターニングポイントに該当します。
恋愛作品であれば、ダイエットを始めたり、ファッションを勉強し始めたりなどですね。
ファーススト・ターニング・ポイントを作るには、主人公が決意を固める大きな決断が必要になります。
- 喧嘩で負ける→強くなりたいと思う
- 好きな人に振られる→見返したいと思う
上記のように、主人公が非日常に向かうには、大きなキッカケが必要になりますよね。
さらに深掘りすると、非日常に行く(挑戦・行動)するキッカケまで作れると最高です。
- 喧嘩で負ける→強くなりたい→師匠との出会い
- 好きな人に振られる→見返したい→ダイエットのチラシを見る
ここまで設定できれば、第一幕の質はかなり高いです。
ファースト・ターニング・ポイントは、主人が関わっていることが大切です。
平凡な日常から何もキッカケがなく第二幕が始まってしまうと、視聴者に理解しにくい作品になります。
第二幕の作り方
第二幕は前半と後半に分けて作成することが基本です。
また、第二幕の役割は以下の通り。
- 主人公が目的を達成するプロセスを伝える
- サブプロットを提供する
- 主人公の大きな挫折
第二幕の作り方は以下の通りです。
- 問題の出現と解決
主人公の成長プロセス - サブプロットの出現
メイン以外のプロット - ミッド・ポイント
物語の前半と後半を分けるポイント
- 主人公の圧倒的困難
主人王が絶望的な状況に陥る - セカンド・ターニング・ポイント
第三幕へ続くポイント
前半から順番にみていきましょう。
1.問題の出現と解決(第二幕前半)
問題と出現と解決は、第二幕が始まってすぐのシーンです。
第一幕から第二幕に切り替わると、小さな問題が主人公に襲いかかります。たとえば、ゲームの最初のボスなどが該当します。
主人公がまだ強くないので、ちょっとした強敵に苦戦しますよね。
しかし、そのような【ちょっと強い敵】を倒し続けることで、主人公は成長していきます。
2.サブプロットの出現(第二幕前半)
サブプロットとは、メインのプロットと異なる物語を意味します。
具体的には、映画やドラマなどの恋愛ストーリー展開や、主人公以外の物語がスタートすることなどです。
ハリウッド映画のほとんどでは、恋愛ストーリーが必ずと言っていいほど入ってきます。
しかし、恋愛ストーリーがなくても、物語を進めることは可能ですよね。
このようなストーリーを、サブプロットと呼びます。
サブプロットが出現する理由は、物語に深みを出せるからです。
メインプロットの問題をサブプロットが解決できる場合、それは最高の作品だと思います。
たとえば、恋愛シーンで結ばれた恋人のおかげて、主人公の目的が達成された、などですかね。
ただし、サブプロットのゴールに役立つ構成にする必要があります。
上記のように、サブプロットはメインプロットのゴールに向かう構成にしないと、
「そういえば、あっちの話はどうなった?」
となってしまいます。
視聴者にモヤモヤした疑問を残さないよう注意しましょう。
3.ミッド・ポイント(物語の前半と後半を分けるポイント)
ミッド・ポイントは、物語のちょうど中心あたりで発生する、大きな転換期です。
具体的には、物語の主人公が危険にさらされたり、主人公の夢や目的が砕かれたりする、大きな挫折するイメージです。
映画タイタニックでは、船が氷山に衝突した瞬間がミッド・ポイントになっているといわれています。
実際に確認してみると、全体尺の真ん中の時間あたりで、船が氷山にぶつかっていました。
つまり、ミッドポイントは以下のように考えると良いかなと。
- 物語の危険度が一気に増す瞬間
- 主人公に大きな災がくるキッカケ
ミッドポイントをきっかけに、物語は後半へ進みます。
4.主人公の圧倒的な困難(第二幕後半)
ここからは、第二幕の後半です。
第二幕後半の目的は、使用者に
「この状況で大丈夫なの?!」
と感じてもらうことです。
そして、主人公の圧倒的な困難では、主人公の状況が非常に危険な状態になります。
具体的には、以下の通りです。
- 敵が強すぎて歯が立たない
- 仲間だった人が的になる
- 好きな人に恋人がいた
ここでは、主人公の気持ちが折れそうになる状況を演出します。
5.セカンド・ターニング・ポイント(第二幕後半)
セカンド・ターニング・ポイントは、一言でいうと、物語が最も危険なシーンです。
映画【タイタニック】だと、船に水が入ってしまい、脱出が困難になる状況ですね。
セカンド・ターニング・ポイントでは、物語の危険性をとにかく引き上げることが重要になります。
視聴者が
「流石にこれは無理だろ…」
と思うレベルまで作り上げて問題ありません。
そして、作品は第三幕(クライマックス)に向かいます。
第三幕の作り方
第三幕の目的は、以下の通り。
- 問題・サブプロットの解決
絶望的な状況から困難を乗り越える - セントラル・クエスチョンの答え
作品の目的を解決できたかの提示 - キャラクターの成長
主人公・登場人物の成長 - 問題解決・課題解決
目的が達成されてどうなったか - エンディング
三幕構成はこれで最後です。順番にみていきましょう。
1.問題解決・サブプロットの解決
第三幕の始まりは、主人公が絶望的なシーンです。
そのような状況を、主人公がどのように克服するかを明確に設定しましょう。
- 敵に仲間を倒されて主人公が覚醒する
- 使ってはいけない手法を主人公が使う
- 仲間の協力で勝利する
映画【ハリーポッター】の最終章では、仲間が協力して敵を弱らせて、最後は主人公が勝つ物語ですよね。
また、この辺りでサブプロットの回収もしておきましょう。
たとえば、サブプロットで冒険をした仲間が主人公を助けにきたりするイメージです。
2.セントラル・クエスチョンの答え
セントラル・クエスチョンの答えとは、主人公の目的が達成されたかを明確に提示するシーンです。
- 敵に勝利して雄叫びをあげる
- 好きな人に告白される
- ビジネスで成功する
第一幕のセントラル・クエスチョンで明確にした目的を達成した瞬間を、シナリオに盛り込みましょう。
3.主人公・キャラクターの成長
ここでは、大きな困難を乗り越えた主人公や登場人物が、どのように成長したかを描きます。
- 仲間の結束が強固になった
- 家族を大切にするようになった
映画【ワイルドスピード】では、物語の最後には仲間と食事をするシーンを描くことが多く、結束が固くなったことがわかります。
物語の始まりと終わりの成長度合いで、視聴者から共感を集めることが期待できるのです。
4.問題解決・課題解決
最後は、主人公が問題を解決したことによって、世界にどのような影響を与えたのかを見せるシーンですね。
【3.主人公・キャラクターの成長】と一緒に描くことも多く、視聴者に
「よかった!」
と感じてもらうシーンです。
多くの場合は、物語の始まりよりも、世界が明るくなった表現が使用されます。
続編を出す場合は、このシーンで次の敵が出てきたり、主人公の子供が出てきたりします。
5.エンディング
クライマックスが終了すると、エンディングが流れます。
最後に、三幕構成を世に広めた脚本家【シド・フィールド】の言葉を引用しておきます。
三幕構成を使った作品の例
ここでは、三幕構成を使った作品の例を紹介します。
アニメ「ワンピース」の三幕構成
世界的名作【ワンピース】も、三幕構成に沿った作品の一つです。主人公のルフィが海賊王になるまでの物語ですね。
ワンピースは、鬼滅の刃と同様に、毎回の話を三幕構成で作成しているアニメです。
第一幕:船出のきっかけ
ある日、ルフィが住む島に赤神海賊団「シャンクス」がやってくる。ルフィは海賊に憧れており、自分も連れて行ってくれと懇願するが、断られる
第二幕:決意
日常を過ごしている中、ルフィの村に山賊がやってくる。山賊に絡まれたルフィは海に捨てられそうにある。そんなピンチの中、シャンクスがルフィを救出する。
第三幕:旅立ち
シャンクスはルフィに麦わら帽子を預けて「いつか海賊王になったら帽子を返してくれ」と伝える。その言葉を胸に、ルフィは数年後、海に旅立つ。
ワンピースは、鬼滅の刃と同様に、毎回の話を三幕構成で作成しているアニメです。
非常に参考になる作品なので、ぜひチェックしてください。
アニメ【鬼滅の刃】野三幕構成
鬼滅の刃は、三幕構成を忠実に表現している作品の一つと言われています。なかでも、鬼滅の刃第一は、お手本に近い表現をしています。
第一幕:船出のきっかけ
ある日、「鬼」が家族を襲い、主人公の炭治郎は家族を失う。
妹の「禰豆子」には意識がある。しかし、すでに鬼になってしまい、兄である痰治郎を襲う。
そのときに、鬼を退治している「鬼殺隊」の「富岡義勇」が主人公の妹を殺そうとする。
第二幕:決意
「鬼になった人間は二度ともとにはもどらない」と富岡義勇に強く言われる炭治郎。
しかし、妹の禰豆子は、兄を守る行動をとる。そのときに、「この兄弟はなにか違うのかもしれない」と富岡義勇が感じる。
第三幕:旅立ち
富岡義勇に鬼の詳細を聞き、妹の禰豆子を人間に戻すべく、鬼の始祖「鬼舞辻無惨」を倒すことを決意。
鬼殺隊の入隊試験に挑む
鬼滅の刃は、主人公の旅立ちに導きてが現れる傾向にあります。綿密な脚本とキャラクター設定に感服です。
三幕構成で物語を作るならCacooがおすすめ
三幕構成を活用すれば魅力的な物語を作成することが可能です。しかし、プロットを作っているときに内容を忘れることは少なくありません。そのよう場合に役立つのが「Cacoo」というツールですね。
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三幕構成に関するよくある質問
最後に、三幕構成に関する、よくある質問をまとめておきます。
プロットポイントとターニングポイントの違いは?
結論からいうと、物語の転換期という点では、大きな違いはありません。
細かくいうと、プロットポイントはアクション(出来事)で、ターニングポイントは主人公の意識決定による行動です。
三幕構成を学べる本はある?
【Save The Cat】がおすすめです。
ここまでの内容を理解していれば、本の内容がスッと入ってくると思います。
シナリオライターや脚本家が読んでいる本なので、ぜひ参考にしてください。
物語の創作を上達させる方法は?
とにかく作品を見ることです。
三幕構成を軸にした作品は数多く存在します。
物語の運び方などを分析すると、あなたの創作スキルはぐっと高くなるでしょう。
創作スキルを学習するなら、【無料あり】シナリオライティング学習に使える4つのツール【独学向け】が参考になるので、ぜひ覗いてください。
構成をまとめられるツールはありますか?
三幕構成を使ってプロットを作るなら、Cacooがおすすめです。僕の場合は、以下のように活用しています。
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まとめ:三幕構成を活用して、最高のシナリオを書いてみよう!
三幕構成の全体像は、以下の通り。
- 第一幕
オープニングから非日常へ - 第二幕
主人公が困難に立ち向かう→挫折 - 第三幕
クライマックス・エンディング
今回は全体像を中心に解説しましたが、三幕構成は非常に奥が深いです。
絶対的な正解はありませんが、人気作品を見ると三幕構成を使っていることが理解できます。
三幕構成の全てを理解する必要はないので少しでも理解できたら、ぜひシナリオを書いてみて下さい。
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