シナリオライターは映像脚本を作る仕事で、物語を作ることが好きな方に魅力的に映る職業です。しかし、物語を作るのが好きだからといって必ずしも向いているとは限りません。
僕はシナリオライター兼小説家として4年間活動する中で、「自分には向いていないかも」と感じた経験があります。
向いていない仕事を続けると、貴重な時間を無駄にする可能性があります。もちろん挑戦は自由です、ただ始める前に向き不向きを確認することは大切です。
本記事では、シナリオライターやに向いている人と向いていない人の特徴を、実体験を元に解説します。これからシナリオライターを目指す方はぜひ参考にしてください。
シナリオライターに向いてる人の特徴8選
まずは、シナリオライターに向いている人の特徴について解説します。
- 発想力が豊富
- リサーチが得意
- 文章の執筆が得意
- 修正が苦にならない
- チームでの仕事が好き
- 繊細な感性をもっている
- 継続的にスキルアップできる
- ドラマチックな表現ができる
全ての項目に該当する必要はありません。
どれか一つでも当てはまっていれば、シナリオライターの素質はある可能性が高いです。順番に見ていきましょう。
柔軟な発想ができる
シナリオライターは、ストーリーを作る上で創造力が必要です。アイデアをどんどん出せる人は、シナリオライターに向いているといえます。
新しいアイディアが出せなくて、作品がマンネリ化するシナリオライターは少なくありません。二次創作作品の修正にはかなり頭を抱えます。
自身の知識や体験を作品に昇華できる人は、はっきり言って天才だと思います。ぜひ挑戦して素晴らしい作品を作ってほしいです。
リサーチが得意
「シナリオライターって、自分の頭の中で考えたストリーを具現化するんじゃないの?」と考える方が多いのですが、これは大きな間違いと言い切れます。
シナリオにせよ小説にせよ、大切なのは「圧倒的なインプット量」です。二次創作なら原作シナリオからキャラクター背景、舞台背景など。
創作の世界では洗練された文章が求められます。頭がパンクするほど情報を集めて、整理することが大切。そうして、「誰かの感情を動かす一文」が完成するわけですね。
ただ近年は、ChatGPTなどのAIツールを活用すればかなり効率化できます。いい時代になりましたね。
文章の執筆が得意
シナリオライターにとって、物語を表現する文章力は非常に重要です。そのため、文章の執筆が得意な人はシナリオライターに向いています。
ここでいう「得意」とは文章力ではなく「執筆にストレスを感じない」ことを指しています。
シナリオや脚本、小説などは5万文字前後の文章を書くことが当たり前です。慣れもありますが、ここばかりは作家全員が歯を食いしばっているところです。
仕事や日常で文章を書くことがノンストレスな方は、無心でカチカチ執筆できるかもしれません。
修正が苦にならない
シナリオライターに限らず文学作家は、「推敲(文章を繰り返し修正・洗練すること)」が全てです。一発書きで傑作が誕生することはありません。
例えばシナリオライターなら、原作の作家さんや映像監督さんから脚本の修正依頼がくることは当たり前です。創作に慣れていない方には、一度書き上げた原稿の修正にはストレスを感じるようです。
「物語をより面白くする作業」が推敲なので、修正・編集が楽しめる方はシナリオライターや小説家に向いていますね。
チームでの仕事が好き
現場によっても異なりますが、シナリオライターは監督や原作作家、演出などさまざまなクリエイターと仕事をします。(YouTube系だとディレクターが多い)
そのため、チームでの仕事が好きな人がシナリオライターの仕事を楽しめるかもしれません。
複数人で動かすプロジェクトには責任がつきものですが、助け合いながら作品を作れるのは楽しいと感じています。
逆に一人でもくもくと作業したい方は、小説やエッセイなどの創作が向いているかもしれませんね。
継続的にスキルアップできる
シナリオライターにとってのスキルアップは表現力だけでなく、知識量や演出力も含まれます。簡単な話、多くの作品を分析している方は、創作能力が高くなります。
小説や脚本の模写をしている方も多く、シナリオライターの世界では地味な努力を継続できる人材にチャンスが回ってくるんですよね。不思議です。
言い換えると他人の作品の魅力を上手にパクれる方や、いろんな経験ができる方は、短期間での成長が期待できます。
繊細な感性を持っている
感情が動く微細なシーンをキャッチできる能力は、創作の世界で重宝されるスキルです。主観ではありますが、他人の顔色を伺ったり、空気を読んだりすることに長けている方は、この手の感性が突出していると考えています。
例えば、「この人は〇〇を言われたら喜ぶ」とか「〇〇を言ったら怒る」が感覚的にわかる感覚です。言葉の節々から相手の感情を読み取れる方も、創作の世界では強いかもしれません。
簡単にいうと、近年いわれる「繊細さん」ってタイプは創作能力が高いです。ただしシナリオや小説を仕事にする場合は、心のバランスを意識することが大切になります。
ドラマチックな表現ができる
ドラマチックな表現を一言でいうと、「意図的に偶然を産み出す創作力」だといえます。人気作品には必ずといっていいほど「狙って作られた偶然」が存在します。別の言い方では「伏線」といいます。
伏線は物語の核ではありませんが、作品に深みを加える大切な要素です。登場人物の生い立ちや世界観にあった伏線を作れる作家さんは、本当に上手だなぁと思います。
逆にいうと、自分の作りたい伏線を優先すると物語が脱線する可能性があります。なので世界観にあった表現を作れる人には作品を作ってみてほしいですね。
視聴者のニーズに合わせた作品を作れる
意外かもしれませんが、視聴者のニーズを無視して創作する作家さんは一定数見られます。とくに作っている物語が面白くなってくると、主観的に創作を進めてしまいます。
創作に熱が入ることは何も悪くありません。前述したように推敲で軌道修正すれば問題なしです。ただ、主観を押し通してしまうのはNGかと思います。
まとめると、見て喜んでもらえる作品を作りたいって考えられる方は、シナリオライターや小説家に向いています。
シナリオライター向いてない人の特徴5選
次に、シナリオライターに向いていない人の特徴を紹介します。
前述と同様、全てに該当する必要はありませんが、複数当てはまる場合は注意が必要です。
- チームプレイが苦手
- 創意工夫ができない
- 執筆にストレスを感じる
- 自分の世界観を主張したい
- 時間に追われることがストレス
順番に見ていきましょう。
チームプレイが苦手
シナリオライターに向いていない人の特徴の一つに、チームプレイが苦手なことが挙げられます。前述したように他者と連携しながら進めるプロセスであるためです。
シナリオライターはクライアントだけではなく、制作チームで仕事をします。そのため、一人だけで仕事を進めたい方にシナリオライターはおすすめしません。
ただしチームプレイが苦手な場合でも、チームメンバーによっては作業が楽しくなる可能性はあります。
複数人でのプロジェクトが苦手な方は、自分に合ったメンバーを探しましょう。
創意工夫ができない
シナリオライターに向いていない人の特徴の一つに、創意工夫が苦手なことが挙げられます。物語の独創性や新たなアイデアを生み出す力が求められる職種であるためです。
たとえば、シナリオライターはプロットの展開や登場キャラクターの設定、台詞などを考案する際に、新鮮な視点や独自の発想力が重要になります。
既存の物語に囚われず、独創的なストーリーを生み出すことが求められるため、創意工夫が苦手な人はこの職種での競争力が低くなるかもしれません。
執筆にストレスを感じる
シナリオライターの仕事は執筆が長時間を占め、執筆が苦痛だと長期的な業務が続けられません。物語の企画やイメージまで構想できても、文章として形にできる方は多くありません。
というのも、シナリオライターをしていて楽しいと感じるのは、物語のテーマが思いついた時です。プロット作成や脚本制作はリサーチ+執筆と膨大な作業なので、非常に体力を使います。
プロの作家でも執筆にストレスを感じることはあります。別の仕事に追われていたり、プロットが甘かったりすると、ほぼ確実に筆は止まりストレスになるんですよね。
なので創作は「楽しむ工夫」をできる人が基本的には勝ちだと感じています。
自分の世界観を主張したい
自分の世界観だけを表現したいという考えがある場合、シナリオライターは不向きかもしれません。シナリオライターは幅広い視点で物語を構築し、多様なターゲットに対応する必要があるからです。
もちろん作家の主観を無視することは間違っています。制作側の考えや想いを表現することがエンターテイメントの醍醐味です。
ただ世に作品を投げるなら、視聴者や読み手を無視することも間違っています。ここは難しいところなので、アンパンマンを生み出した「やなせたかし氏」の言葉を引用させていただきます。
時間に追われることにストレスを感じる
シナリオライターに向いていない人として、時間に追われることが苦手なことが挙げられます。シナリオの納品が遅れると作品の公開が遅れるため、普通の仕事よりも納期には敏感です。
つまりチーム単位でのプロジェクトになるので、シナリオライターの納期が遅れることは、チーム全体の進捗を遅らせることに直結します。
ただエンターテイメントの仕事は、納期と戦いながらユーザーの感動を届けることです。創作で生きられるのは幸せだと思います。
ただ多忙が原因で心が壊れる方が多いことも事実です。なので、心のバランスを整える術を学んでから創作に世界に挑戦することをおすすめします。
向いてない人はシナリオライターをやめるべきか
ここまでは「向き・不向き」の話をしましたが、向いてないからといって諦める必要はありません。時間に追われる仕事だし、過酷な環境だってあります。
ですがシナリオ創作は一つの芸術であり、創作の才能は誰にでもあるはずです。確かに有名作品を手掛けるには業界でのつながりや、圧倒的な努力・作業が必要になります。
でもシナリオを作る力は、音楽や小説などのエンターテイメントにも応用ができます。使い方を変えれば、ビジネスにだって通用する力です。
なので、やってみたいと思っているなら、ぜひ挑戦してみてください。
未経験からシナリオライターになるには?
未経験からシナリオライターになるには、以下のステップがおすすめです。
- スキルを身につける
- ポートフォリオを作成する
- クラウドソーシングに登録する
- 案件を受注する
- 大型案件を受注する
スキルを身につける方法としたは、独学・スクール・弟子入りが挙げられます。もし脚本・シナリオを作っている作家さんがいるなら、頭を下げて弟子にしてもらいましょう。業界での人脈が一気に広がります。
周囲に創作関係者がいないなら、スクールの受講を検討してみてください。例えば「アミューズメント総合学院 」なら、通学・オンラインで実践的な創作スキルが学習できます。業界でのつながりが広がりを広げられることも魅力です。シナリオライターの始め方方については【未経験OK】シナリオライターのなり方は?副業で始める方法や注意点を解説を参考にしてください。
シナリオライターに求められるスキルを理解しよう
ここまでは、向き不向きを中心に解説しました。しかし、シナリオライターに求められるのはスキルです。
言い方を変えれば、スキルさえあればできる仕事でもあります。向き不向きに関係なく、シナリオライターを目指す方は、必要なスキルは理解しておきましょう。
- 作品の企画力・発想力
- 読者の心を掴む文章力
- コミュニケーション能力
- リサーチ能力
上記のスキルは、誰かに協力してもらい補填することも可能です。順番に見ていきましょう。
作品の企画力・発想力
作品の企画力・発想力は、シナリオライターに求められる重要なスキルになります。物語の魅力や独自性を生み出すために、新しいアイデアや視点が不可欠であるためです。
シナリオライターの多くは、クライアントからテーマをもらい物語を作成します。
- 読者・視聴者をどこで釘つげにするか
- 感情曲線をどうやって動かすか
- クライマックスはどう演出するか
言い出せばキリはありませんが、企画力や発想力は上記のシーンで活躍するスキルです。
頭の中で考えるのではなく、さまざまな作品をみて、アイディアのストックにも力を入れましょう。
読者の心を掴む文章力
シナリオライターには文章力は重要なスキルです。Webライティングと異なり、シナリオライティングには、風景の描写や感情表現など、さまざまの文章表現が求められます。
とはいえ、読者の心を掴む文章力を生まれつきもっている人は、ほぼいません。
映画や小説などの何回もみて、魅力的な表現を取り入れている方がほとんどです。つまり文章表現はちょっとした努力で身につけられるスキルなのです。
コミュニケーション能力
チームで仕事をするシナリオライターには、コミュニケーション能力は必要不可欠といえるでしょう。
理由はシンプルで、シナリオライターが作った作品をもとに、音楽・映像・キャスティングなどが行われます。つまり案件によっては、一定のディレクションも担当するわけですね。
物語の世界観を作った張本人なので、チームへ的確な指示を出したり、クライアントと円滑に仕事を進めるためには、コミュニケーション能力は大切です。それと、楽しく仕事を進めるためにも重要なスキルだと思います。
リサーチ能力
前述したように、リサーチ能力は。物語の背景や登場人物の設定をリアリティ溢れるものにするために、正確かつ幅広い知識が必要だからです。
この際、インターネットや書籍、専門家へのインタビューなど、様々な情報源を活用して緻密な調査を行うリサーチ能力が重要となります。
正確な時代背景や文化を反映させることで、読者に説得力のある世界観を提供できるため、論理が破綻する心配もありません。
短い文章を書くだけでも、情報をインプットして損はありません。面白い事例を紹介している書籍があるので、ちょっと引用させていただきます。
シナリライターに関するよくある質問
最後に、シナリオライターに関するよくある質問を紹介します。シナリオライターを目指している人は、参考にしてください。
Q1:シナリオライターの仕事は辛いですか?
正直にいうと、つらいと感じることは非常に多いです。数だけでいうと、つらいと感じることの方が少なくありません。
しかし、それ以上のやりがいがある仕事なので、興味のある方はぜひチャレンジしてほしいと思います。
シナリオライターのつらさについて赤裸々に書いた記事を紹介するので、気になる方は下記の記事も参考にしてください。
Q2:独学でもシナリライターになれますか?
結論をいうと、可能です。
ただし、独学でゲーム会社やシナリオ制作会社に就職するのは困難です。企業は常に即戦力を求めているので、コンクールでの入賞やフリーランスでの実績がない以上、正社員のシナリオライターになるのは困難かもしれません。
したがって、独学でシナリオライターを目指す方は、まず実績を作ることを推奨します。
なお、シナリオライターの独学方法は、独学でシナリオライターのスキルを身につける方法【学習ステップも紹介】詳しく解説しています。自分の力でシナリオライターの道を開きたい方は、こちらも覗いてみてください。
まとめ:向き不向きに関係なくシナリオライターにはなれる
最後に、シナリオライターに向いている人・向いていない人の特徴をまとめておきます。
- 発想力が豊富
- リサーチが得意
- 文章の執筆が得意
- 修正が苦にならない
- チームでの仕事が好き
- 繊細な感性をもっている
- 継続的にスキルアップできる
- ドラマチックな表現ができる
- チームプレイが苦手
- 創意工夫ができない
- 執筆にストレスを感じる
- 自分の世界観を主張したい
- 時間に追われることがストレス
とはいえ、自分の苦手分野を克服したり、他人の力を借りたりすることで、向き不向きに関係なくシナリオライターとして活動することは十分に可能です。
あなたが作った作品見た視聴者から、
「生きる勇気をもらいました。こんな作品を作ってくれてありがとうございます!」
などのコメントが来ることもあるのです。従来の仕事・副業よりもやりがいのある仕事だと思うので、物語に興味のある方はぜひ挑戦してください。
副業シナリオライターの仕事を詳しく知りたい方は、YouTubeシナリオライターの収入は高い?副業の始め方まで解説!を覗いてみてください。
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